927人が本棚に入れています
本棚に追加
―目的―第二章
ばたばたばたばたばたっ
朝一に廊下を騒がしく走り去るのは、この俺。騒音の苦情が来てもおかしくないほどの煩さ。
だがその心配は微塵もありはしない。何故ならば、この階には変態が一人いるだけだから。
きゅきゅっと上靴のゴムで床が擦れ、音を鳴らす。
さて変態、覚悟しやがれ。
ばんっと大きな扉を騒がしく開けると、へらへらと朝から締まらない顔をこちらに向け、上機嫌にご挨拶。
「あ、たぁーくん。おはよーっ☆」
キラキラと朝日にも負けないくらいの笑顔を向けられるが、今はどうやら嫌悪感しか生まれない。
両手を広げ、たぁーくぅーんっ、と近づいてくる変態に俺はニッコリと微笑んでみせる。
右足を重心にて、左足を振り回す。
ドゴッ
「んがっ!」
見事なまでの回し蹴り。顔面から床に突っ込んだ変態は半泣きで俺を見上げてくる。少々ゾンビに見えるのは俺だけか?
「ひどいよーぅ…たぁーくん…ぐずっ」
「おはようのお返事ですよ?理事長☆」
「…あぁ…。もう何でもいいや…可愛いから」
「こっちはよくねーんだよ。早く起きやがれ、糞叔父」
ボスッとソファーに乱暴に腰を落とすと、ゾンビから生還した叔父さんは俺の正面のソファーにゆっくりと腰を下ろす。
「ずいぶんとご立腹だね」
「当ったり前だろっ!ったく…とりあえず、学園内の説明とかしてくれる?」
「あ、はいっ!…て、え?怒らないの?」
「別に俺が叔父さんを怒る事は無いじゃん。どうせすべて父さんの計画の内なんだろ?」
「…そんな事言ってくれて嬉しいけど、さっき蹴ったよね?怒ってるいよね?!」
「まあ、それはそれで」
えー、と不満そうな顔をする叔父さんは、なんだかんだ言って嬉しそうな顔をしている。
やっぱ叔父さんってMだと思うんだよね、俺。
「たまには父さんの遊びに乗るのもいいでしょ?それに…俺も気になる事があるしね…」
.
最初のコメントを投稿しよう!