―目的―第二章

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「うわぁー…」 もう、本当に最悪。 目の前に広がるのはほぼ白で統一されたプリンセスルーム。 そう、あのおとぎ話のお姫様特別部屋。 こういう趣味の持ち主ならば目眩がして、素敵、と言うのだろうが、俺は違う意味で目眩を起こした。 慌てて部屋の中を見て回ると、天蓋付きベッドに猫足付きバスタブ、金の蛇口、大きな丸鏡のドレッサー、シャンデリアなどなど。 貧血を起こしそうになったのは言うまでも無い。 なんっなんだっ!これはっ! どこのお嬢様部屋だっ! ここはたしか男子校だったよな? だったよな?! 頭を抱え、盛大な溜息を吐く。 時計を見ればすでに夕方だった。 いっけねぇ、こんな事してる場合じゃねぇよな。 この部屋の事に関しては明日叔父さんを問い詰める事にして、とりあえず荷物を片付けよう。 ぶんぶんと頭を振り、目の前の現状にいろいろ突っ込みどころあるけれど、とりあえず後回しにする。 早速明日から学園生活が始まるって言うのに、荷物も何もかも箱詰めされたままだ。 業者の方が、荷物等は私達が片付けておきますね、と笑顔で言ってきたのだが、俺が全力で拒否したのでこの有様だ。 いや、だって他人に荷物を勝手に漁られるのって嫌だろ? まあ、金持ち坊ちゃん達は違うのかも知れないけどさ。 って俺もその内の一人か。 とにかくなんだか嫌だったんだ! でも今思えば、とくにたいした荷物も無かったし、勝手に片付けて貰えばよかった…。 あー、面倒臭い。 ばふん、と天蓋付きベットに倒れこむ。 さすがお嬢様専用ベット、めちゃくちゃ寝心地良いな。 天蓋を除けばの話だけれど。 くるり仰向けになり、天蓋を見上げながらこれからの事について考えていた。 闇猫のことと、今日エントランスホールでチラッと見えた気になるもの。 あれは、もしかしたら―――… そんなことをごたごた考えていたらすでに夜中の三時だった。 .
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