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「で、少しばかり寝不足な訳ね」
「うん、まあ。あの部屋どーにかなんないの?あれ誰の趣味だよ。まさか、叔父さんの」
「違うよ!そりゃあ、たぁーくんにはめちゃくちゃ似合う部屋だとは思うけど僕の命が危ない!」
「つまりいつかやりたいと思ってたんだね。殴っていい?」
「だ、だめ…です。ごめんなさい、やらないから殴らないでほんとにもう」
「結局誰の趣味なんだよ」
「んー…あの部屋は“おめつけ役”専用部屋だからね」
出たよ、“おめつけ役”。
いまだにその“おめつけ役”ってのがよくわからないまま。
今日こそ聞かなければ!
「叔父さん、その“おめつけ役”って」
「おーい、樹ー。今日お前の甥っ子が来るって言ってたよなー…て、は?」
俺が漸く叔父さんに“おめつけ役”の事を聞こうとしたその瞬間!
ノックも無しにドアがガチャリと開いた。
そう、ノックも無しに。理事長室に。
そして叔父さんを呼び捨て。
何者だよ…。
ざっと見て女と遊んでそうな黒髪短髪教師。
ホストやっててもおかしく無いかもしれない。
あ、そんな事いったら叔父さんもそうか。
「樹、お前。理事長ともあろうお方が一般生徒に手を出すなんて」
「ひな!違うってば!」
俺をぎゅうっと抱きしめている叔父さんは慌てて首を振る。
違うんだったら俺を放せっての。
叔父さんは黒髪短髪ホスト…ではなく黒髪短髪教師のことを「ひな」と呼ぶ。
なんだっけ?どっかで聞いた名前だな。
てか顔に似合わず可愛い愛称だな。
ツカツカと俺たちのもとへと歩いて来たソイツは、俺を見降ろす。
あ、睨まれた。
「で、お前の甥っ子はどうしたんだよ」
「だから!これがそうだよ!」
これ、と言って俺を差し出す叔父さん。
おい、物扱いすんなよ。
「は?このちんちくりんのガキが?」
「カッチーン」
おい、このホスト野郎。
誰がちんちくりんだ。誰がガキだっ!
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