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「アンタ誰だよ」
「あぁ?こいつ、口悪いな」
俺の頬をびよーんと伸ばしてくるホスト野郎。
んの、野郎っ!
バシンとホスト野郎の手を叩き、んべっと舌を出す。
「てんめぇー…」
「ふんっ」
「ああ、もう!喧嘩しないのっ!ひな少し落ち着け!そしてたぁーくんも口が悪い!」
それまであわあわと見ていた叔父さんが漸く口を挟んだ。だからコイツ誰だって。
イライラしている俺の怒りの矛先は、叔父さんへと方向を変えた。
「だからこの人誰っ!」
「あれ?覚えてないの?」
「覚えて無いから言ってんの!」
「そ、そうだね。この人は」
「黒澤ひなり(クロサワヒナリ)、ここの英語教師を務めている。樹とは幼馴染だ」
叔父さんが言うよりも先にホスト野郎、いや、黒澤ひなりは言う。
あー。待てよ?
どっかで聞いたと思っていたけど、まさか、まさかあの!
「ひなちゃん!」
「ひなちゃん言うな!」
やっぱりこの反応はひなちゃんだ!
昔よく遊んで貰っていたのを思い出した!
一番印象深い初対面の時のこのやり取り。
七歳の俺に「ひなちゃん」と言われ、顔を真っ赤にして怒鳴られたのをよく覚えている。
結局その後、俺が「ひなちゃん」と言うのを止めた事は無かった。
思い出した事への嬉しさと、久々のやり取りににやにやしていると、大きな溜息をつくひなちゃん。
「よーくわかった!確かにコイツは樹の甥っ子だ!あの糞竜平だ!」
「うわっ、ひでぇー。ひなちゃん大人げなーいっ」
「そうだよ、ひな!たぁーくんは糞じゃないよっ!」
「お前は黙ってろうるせぇ」
「うわーんっ!ひながいじめるーっ」
俺をぎゅっと抱きしめ、うわーんと泣く叔父さん。
ちょ、叔父さんやめて。
俺が睨まれてるから。
「相変わらずだね、ひなちゃん。昔もよく俺に対して殺気を放ってたなぁ」
「黙れマセガキ」
ひなちゃんは叔父さんが好き。
それは七歳の俺がすぐ気がついた事だった。
そんな恥ずかしい事を七歳児に勘付かれたとなれば、大層ショックだったろう。
「ところで竜平、お前髪染めたのか?ゲームのし過ぎで視力落ちたのか?」
「ん、ああ!そうだったそうだった」
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