―目的―第二章

8/11
前へ
/31ページ
次へ
廊下を二人で歩いていると、チラチラと視線が俺に突き刺さる。それも真横からだ。 気になって俺も視線を合わせると、目を見開き目を逸らすひなちゃん。 おまけに「なんだよ」との一言。 それはこっちが言いたい台詞だ。 でも、ひなちゃんが今言いたい事は分かっている。 たぶん、自分で言うのが恥かしいから、俺に聞いて欲しいんだろうなぁ。 このまま分からない振りでもしてやろうかな、なんて意地悪な事を考えてスットプした。 俺も真相が気になるし、聞いてあげようかな。 ひなちゃんが可愛いからつい苛めたくなってしまう。 「やっと、モノにできたんだねぇ」 「ぶはっ!」 しみじみと呟く俺に、盛大に吹くひなちゃん。 その顔を見れば茹でだこの様に真っ赤っか。 ひなちゃんにはちょっと直球過ぎたかな? 「お、おまっ、この、マセガキ!」 「もうガキじゃありませーん。このぐらいで顔を真っ赤にするひなちゃんの方がガキですー」 俺の言葉に平常心を保とうとするひなちゃんに、にやにやと質問を投げかけてみる。 ペタペタと自分の顔を触るひなちゃんは、まるで乙女だ。 かわいいなぁもう! 「もちろんお互い子供じゃないんだから、もう最後まではやってるよね?」 「さっ?!」 「よくもあんな超鈍感さんを落とす事ができたね。あ、それとも、もしかして落とされた?」 「はっ?!」 「あ、ビンゴ☆だよね~!こんなヘタレひなちゃんが落とせると思わないし?」 「おまっ!もう喋るな!」 某菓子会社のマスコットを真似て、舌を斜めに出してもみる。あからさまなからかいにひなちゃんはお怒りのご様子。 それでもやっぱり、少し嬉しそうな、 幸せそうな顔をしている。 ああ、本当によかった。 「よかった」 喋るなと言っただろうと言う顔をするひなちゃんに、俺は少々びっくりした。 あれ?口に出すつもりはなかったのにな。 ごめんね、ひなちゃん。 何が?と言いたそうな顔に、俺は思っていた事を話す事にした。 「叔父さんの相手がひなちゃんで、本当によかった。ひなちゃんは唯一俺が認めた相手だからね」 「認めた?お前が?」 「うん、ひなちゃんをね」 「はっ!冗談だろ?どこを認めたって言うんだよ。いつだってお前は邪魔してきただろう?」 「それはひなちゃんの反応が面白かったからで」 「このやろう!」 だって可愛いんだもん。 .
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

927人が本棚に入れています
本棚に追加