927人が本棚に入れています
本棚に追加
廊下を二人で歩いていると、チラチラと視線が俺に突き刺さる。それも真横からだ。
気になって俺も視線を合わせると、目を見開き目を逸らすひなちゃん。
おまけに「なんだよ」との一言。
それはこっちが言いたい台詞だ。
でも、ひなちゃんが今言いたい事は分かっている。
たぶん、自分で言うのが恥かしいから、俺に聞いて欲しいんだろうなぁ。
このまま分からない振りでもしてやろうかな、なんて意地悪な事を考えてスットプした。
俺も真相が気になるし、聞いてあげようかな。
ひなちゃんが可愛いからつい苛めたくなってしまう。
「やっと、モノにできたんだねぇ」
「ぶはっ!」
しみじみと呟く俺に、盛大に吹くひなちゃん。
その顔を見れば茹でだこの様に真っ赤っか。
ひなちゃんにはちょっと直球過ぎたかな?
「お、おまっ、この、マセガキ!」
「もうガキじゃありませーん。このぐらいで顔を真っ赤にするひなちゃんの方がガキですー」
俺の言葉に平常心を保とうとするひなちゃんに、にやにやと質問を投げかけてみる。
ペタペタと自分の顔を触るひなちゃんは、まるで乙女だ。
かわいいなぁもう!
「もちろんお互い子供じゃないんだから、もう最後まではやってるよね?」
「さっ?!」
「よくもあんな超鈍感さんを落とす事ができたね。あ、それとも、もしかして落とされた?」
「はっ?!」
「あ、ビンゴ☆だよね~!こんなヘタレひなちゃんが落とせると思わないし?」
「おまっ!もう喋るな!」
某菓子会社のマスコットを真似て、舌を斜めに出してもみる。あからさまなからかいにひなちゃんはお怒りのご様子。
それでもやっぱり、少し嬉しそうな、
幸せそうな顔をしている。
ああ、本当によかった。
「よかった」
喋るなと言っただろうと言う顔をするひなちゃんに、俺は少々びっくりした。
あれ?口に出すつもりはなかったのにな。
ごめんね、ひなちゃん。
何が?と言いたそうな顔に、俺は思っていた事を話す事にした。
「叔父さんの相手がひなちゃんで、本当によかった。ひなちゃんは唯一俺が認めた相手だからね」
「認めた?お前が?」
「うん、ひなちゃんをね」
「はっ!冗談だろ?どこを認めたって言うんだよ。いつだってお前は邪魔してきただろう?」
「それはひなちゃんの反応が面白かったからで」
「このやろう!」
だって可愛いんだもん。
.
最初のコメントを投稿しよう!