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「本当に、ひなちゃんだけだったんだよね。この人だ!って思ったのは」
「…男なのにか?」
「別に叔父さんの彼女を認めるんじゃなくて、叔父さんの傍にいれる人を、だよ。親友でも先輩でも先生でも、何でもよかったんだ。唯、叔父さんを支えて、理解をしてくれる人を見定めてたんだよ」
「…それ、お前いくつの時の話だよ」
「俺の記憶が“確かな時”からずっとだよ」
…あ。
サラリと言ってしまった言葉に後悔した。
眉をぴくりと動かし、切なげな顔をするひなちゃんに苦笑い。
ごめん。
この話はタブーだったね。
「ははっ!ガキの癖に可愛げが無い子供だったんだなぁ、俺って」
「…何を今更。お前は会った時からずーっと可愛くない。今も可愛くない!」
「ふはっ。そんなに力込めて言わなくたっていいじゃん」
「だから!…もっと甘えろ…」
ひなちゃんの声音が下がる。
優しく、宥める様に俺を見下ろしている。
見るな。
見るなっ!
「…そう…だね」
あんな事言わなければよかったなぁ、なんて後悔。
喉が渇いていく。目線を外したいのに外せない。
お願いだから、そんな目で見ないで!
「じぁあ…」
ごめんね、ひなちゃん。
この話はまた今度ね。
「じゃあ、今度ミルクティー奢ってね!」
「そ…そういう意味じゃねぇっ」
「ほらほら、ここでしょ?俺の新しい教室。クラスメイトっ!」
「あ、あぁ…」
「1-A、担任は黒澤ひなり先生、だね?何か変な感じ~」
ケラケラと笑うとギロリと睨まれてしまった。
でも、なんとか会話の流れを変える事ができたみいだ。
「ったく…ドアの前で待ってろ。俺が呼んだら入って来いよ?」
「おお!憧れの転入生登場シーンだね!」
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