―目的―第二章

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冷たく言い放ったひなちゃんの声に、教室内はシン、と静かになる。 う~ん…実に不機嫌だ。 やっぱりもう少し後で教えてあげるべきだったかなぁ? …俺には分かる。 たぶん今、ひなちゃんの頭の中には叔父さんでいっぱいだから、他の声を入れなくないんだろう。 やっぱりガキだなぁ。 そこが可愛いんだけどさ! 「週明けだからと言って浮かれるな。いきなりだが、本日からこのクラスに転校生が来る」 苛立ちの混ざった冷たい言い方だったが、生徒達はわいわいと騒ぎ出す。 「久々にひなり様に会えて嬉しいです!」 「休日は何をなさっていたのですか?!」 「転校生っ?」 「うわぁ!楽しみですね!ひなり様!」 「ひなり様抱いて下さい!」 …あれー? 今最後に変な奴いたよ? 気のせいか? うん、気のせいだよね! 頭の中を納得させていると、ひなちゃんが嫌そうに俺を呼ぶ声が聞こえた。 よし、行くか。 カツラとメガネのチェックをして、一歩踏み出す。ガラリとドアを開き、大股一歩で教室へと入る。 台風の目が上陸した。 さて、波乱の幕開けだ。 .
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