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高崎くんは、話すこと全てを話し終わった。
「これが…父さんの全て。
俺が大好きだった…父さんの全てだよ。」
「そっか…高崎くんには、そんな辛い過去があったんだね。
話してくれてありがとう。」
「うん…それで、
俺の事信用してくれる?」
ここなんだ。
私は弱虫だから…どうしても決断がすぐに出来ない。
だから…最後に一つだけ。
「正直怖いよ。
また見捨てられるんじゃないかって…。
だから…何回も申し訳ないんだけど、最後に一つだけ質問していいかなぁ…?」
「うん。いいよ。」
高崎くんは笑って応えてくれた。
それだけで私は心が楽になった気がするんだ…。
「高崎くんは…いつもこうなの?
こうやって困ってる人に、いつも手を差し延べてるの?」
私が質問すると、高崎くんは困った表情を見せた。
「うーん…いつもって訳じゃないけど…今は美島を助けたいって思ったんだよ。
あー…ゴメン。
上手いこと言えないや。」
「ふふ…高崎くんって前しか見ないんだね!!」
「ありがとう。
褒め言葉として受け取るよ。」
「うん、そのつもりで言ったよ?
じゃあ…そろそろ私の事話すね。」
「それは…信用してくれたってことなの?」
「よくわからない…。
だけど、高崎くんには話していいと思ったの。」
「うん…ありがとう。」
「でも…まずは今の現状を高崎くんに見てほしい。
ちょっとついて来てくれる?」
「あぁ…いいよ。」
そして、私達は学校を出た。
高崎くんなら…蓮司のことを分かってくれる。
信じていい人なんだ。
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