霜焼け

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俺は紺子達の雪合戦に参加するわけでもなく、只ベンチに座ったまま足をぷらぷらと動かしていた。 そしてボーッと皆の様子を眺めていると、礼文と流がいないのに気がついた。 周囲を見回してみるとある一点に目が行った。 そこには髪を切り揃えイヤーマフを着けた少女と見間違う程に可愛らしい少年と、長身にマフラーを身につけた所謂イケメンの部類に入る少年が仲良く雪だるまを作っていた。 いつも通りに無邪気に笑う礼文。 流はというと、いつも通り無口ながらその様子はどこか楽しげで。 俺は嫉妬心を覚えた。 流には敵わないと頭では分かっているものの、心は流に負けたくないという気持ちでいっぱいだった。 俺かじっとそんな二人を見ていると、礼文が手を振ってきた。 「おーい、烈斗ー!烈斗もこっちにおいでよー」 礼文はのほほんと語尾を伸ばして呼びかけてきた。 俺は心が揺れ、一度は腰を上げたものの流がいるんだと思い、再びベンチに腰を下ろした。 すると礼文はこちらに向かってきた。 「烈斗ー。どうしたの?」 礼文の問い掛けを無視すると、礼文は少し悲しそうに目を伏せ、また明るく話しかけてきた。 「雪、ついてるよ」 そう言って頭に着いた雪を払ってくれた。 健気に雪を払う様子がかわいくって、抱きしめたい衝動に駆られた。 俺はじっと礼文を見ていると、礼文の手に霜焼けが出来ているのに気がついた。 どうやら手袋をつけないで雪に触っていたらしい。 今すぐ手を握って温めてやりたくなったが、そんな勇気は生憎持ち合わせていなかった。 その代わりにと、俺はそっと手袋を脱いだ。 end
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