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汽車の汽笛の音が微かに聞こえた矢先、異様な叫び声が耳に届く。
叫び声の聞こえた方を辿ってみると良く見る光景に出会した。
そこは建物と建物の薄暗い場所。
男が数人、その中に女が一人若干震えているように見えた。
どうもさっきの声の主は彼女だろう。あー面倒臭い。けど、ほったらかしにするのも男が廃るような気がした。
「嫌、離して! 誰が貴方達なんかと――きゃっ!」
男の一人が女の手首を強引に引っ張ったのが見えた。
あ、やばいな。
俺は目線を下にやり、直ぐ傍に落ちてある小石を拾って女に手をあげようとしている男に投げた。
「いてっ……誰だ!」
言葉と同時に振り返った男らは俺に目線をやった。
俺は拾い上げた小石を見せつけるように手の上で宙に軽く投げた。
「邪魔すんな、お前には関係ないだろ」
他の男達もこちらを睨み俺を邪魔者扱いする。今にも殴り掛かりにきそうな殺気だ。こんな幅の狭い場所で。
俺の態度に怒りが頂点に達したのか、一人が俺を目掛けて殴りに掛かってきた。面倒くせぇ。
「このっ」
男の怒りのこもった握り拳が俺の真横をすり抜けた隙に短銃を出し、男がもう一度打撃を与えようと振り向いた瞬間額に銃を当てる。
大抵はこうすると動けなくなるだろう。
すると舌打ちが背後ろから聞こえる。
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