隻腕の猿

3/6
前へ
/18ページ
次へ
 何処までも続くと思われた密林が、不意に途切れた。  草や木で作られた粗末な小屋が現れた。  小屋の前には簡素(かんそ)なベンチが置かれ、そこに老人が腰かけているのが見える。   「アンタが、この『猿の左手』を作ったのか?」     (たず)ねると男は意味ありげな笑いを浮かべて答えた。 「私が作ったのは、只の木乃伊(ミイラ)さ。  左手はこの猿のモノだよ」  
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23人が本棚に入れています
本棚に追加