隻腕の猿

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 俺の手から、(すご)い勢いで何かが生えてくる。  ザワザワという音とともに、生えてきたのは柔らかな濃褐色(のうかっしょく)の毛だった。  指も手の甲も。  二の腕まで。  それはビッシリと生えていた。  (てのひら)には生えなかったが、皮膚の色が見る見る内に、濃い珈琲(コーヒー)色に染まっていく。  ズボンをめくるとスネからも、生き物の様に毛が生えてきていた。 「何だよ、これ。  何なんだよ? 俺、一体どうなっちまうんだよ?」  
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