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「オマエノ望ミヲ叶エヨウ。
『猿の左手』ハ、永遠ニオマエノ物ダ。
誰ガ持ッテイヨウト、オマエノ物ダ」
走り去った猿の声が響く。
「ナゼナラ、其レハオマエ自身ノ手ダカラ」
一際高い木の上に、彼の姿が見えた。
逆光の中に浮かび上がる猿の影は、もはや隻腕ではない。
両の腕を、誇らしげにユラユラと、頭上で振っている。
その姿は、今の俺とそっくりだった。
俺は一匹の猿になっていた。
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