呪いグッズ

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 (ひま)つぶしに(つな)げたネットで、面白半分(おもしろはんぶん)(のぞ)いていたページは『(まじな)いグッズ』。  呪いに使う道具を、通信販売しているページだ。  (うし)の刻参りに使う(わら)人形に五寸釘。  黒魔術の魔方陣(まほうじん)を描く為の粉。  靴の中に忍ばせておくだけで、狙った相手を生ける(しかばね)と化すゾンビパウダー。  怪しげな商品が、これでもかと並ぶ中に、一際(ひときわ)気になるモノを見つけた。 「猿の左手」本物のウィッチドクターが作った、猿の左手のミイラです?    マジかよ。 『貴方(あなた)の願いを三つ、なんでも(かな)えます。』  なんでも、って、んなわけねえだろ。  どうせボッタクリで十万か、下手すりゃ百万くらいするのだろう。  そう思って金額をチェックすると、一万だった。 「一万?   一万で願いが叶っちゃうのかよ。ありえねえ。  っつうか、いかにも(あや)しくね?」  夜中に一人、パソコンに向かってひとしきり笑った後で……  どうしても、ソレを手に入れたくなった。  十万じゃ、手が出ないけど。  一万なら。宝くじを買ったと思えばいい。  一万なら。このページが全部詐欺(さぎ)で、金だけ振り込んで商品が戻ってこなくても、それほど、深手(ふかで)にはならないし。  な?  いつもなら一万でも(しり)ごみした筈だが、俺は、一週間前に新しく始めたバイトの給料を手にして、気が大きくなっていた。  一生に一度くらい、こんな馬鹿(ばか)な買い物をするのも悪くない。
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