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「じゃあそういうことで、私はもう帰るから後よろしくね。部室の鍵はちゃんと閉めて帰ってね。」
そう言って先輩は荷物を片付けてドアに向かっていく。
「あ、そうだ。」
ドアから半分出かかったところで先輩は振り返り
「二人きりだからって変な事、してもいいけど痕跡だけは残さないようにね?」
「「しません!」」
その答えが期待通りのものだったのか満足げに笑い先輩は出ていった。
開きっぱなしのドアから足音が遠ざかっていくのが聞こえる。
先輩 ちゃんとドア閉めていってください。
仕方なく立ち上がりドアを閉めにいく。
そのついでに先輩がドアの裏に隠れていないかを確認してしまう。
先輩が想像しているようなことをするわけではないが、改めて言われると妙に意識してしまうものだ。
「ねぇ…これからどうしよっか?…」
もちろん先輩が想像しているような意味ではない。
「そうだな…」
ドアを閉めた俺はあいつが座っている席の前の席を陣取りイスを反対側に向けて向かい合う形になる。
夕日の差し込む放課後の部室、男女二人きり、ひとつの机に向かい合って顔を見合わせている。
くそぅ…意識するなって言うほうが無理だろこのシチュエーションどうやらそれはあいつも同じようで顔が少し赤い気がする。
いや、夕日のせいか?
「お前、台本って書いたことあるのか?」
もちろんあいつは首を横に振る。
あいつがそういうのを書いているような類の話は聞いたことがない。
「だよな…俺もだ…」
さて…どうしたものか。
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