残2日

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「十三さんは、いるかな?」 晋は図書室に着くと彼女を探した。 彼女はカウンターで1人静かに本を読んでいた。 「おっ!いたいた。」 晋は彼女に近付いていき、 「十三さん。」 何も考えずに声を掛けてしまった。 「あっ。茨木くん、何か用?」 頭が空転する。 「えーと。あのー。」 彼女が晋の言葉を待ってくれている。 「言う事忘れちゃった。」 「ぷっ。変なの。」 彼女は笑った。 考えなきゃ、考えなきゃ、考えなきゃ、晋は必死に考える。 「ところで、十三さん、何の本読んでるの?」 必死に考えてそれかよと言われそうなセリフしか出てこなかった。 「これはね。」 少し恥ずかしそうに彼女が答える。 「よし、本の話題を少しして間を持たせよう。」 と晋は思った。 「へー。どんなの。」 「解析力学で、著者は…」 間は少しも持たなかった。ぶっちゃけ全然わからないのだ。 しかし、 「あっ、思い出した。今朝の本の事だけど、まだしばらく借りていたいんだけど…。」 「それなら、延長の手続きするね。」 彼女がなにやら、書類を出してきた。 「ここに、サインして。」 言われた通りにサインする。 「はい。これで一週間延長できるよ。」 「ありがとう。えーと…。」 「?」 何でもいい何か言うんだ!晋は自分自身を鼓舞した。 「十三さん、た、大変そうだね。な、何か手伝おうか?」 一緒、彼女が驚いた顔を見せたが、すぐに 「ありがとう。じゃあ。本の整理手伝って。」 「よし!」 晋は内心でガッツポーズをとった。
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