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「はい。」
台の上に乗っている杏里に、晋が本を渡す。
「ありがとう。」
彼女がそれを棚に入れる。
チラチラと彼女を見てみる。
うーん、控えめな鼻に星空を想わせるそばかす、知性を際立たせる分厚いメガネ、どこまでも続く大草原な胸、といったところか。
「本当に彼女なのかな?」
余計な考えに気を取られ、本を渡す前に手を離してしまった。
「あっ。」
彼女が慌て本を掴み直そうとした。
その瞬間、
晋の目に、本と一緒に落下する杏里がストップモーションのように映った。
「助けなきゃ。」
自分の身体は、目の前の景色よりも少し速く動く。
彼女の真下に来れた時に、
「ぐしゃ。」
時間の経過は元に戻っていた。
晋は、かっこよく抱き止めるつもりだったが、
無様に下敷きなっただけだった。
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