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「生きるの飽きた。」
どれくらい長く生きたと言うのだ!と突っ込まれそうなセリフを彼は呟いた。
「なんかつまらねぇ。」
そりゃそうだ。
彼には、知り合いはいても友達はいないし、
美しい彼女はもちろん、可愛い妹もいない。
しかも彼は帰宅部の孤高のエースだった。
そんなら、ぎょーさん勉強できるやんと突っ込まれそうだが、
勉強には興味がわかなかった。
彼には、ささやかな勉強の才能しかなかったからだ。
「なんか、神でも現れて、オレをイケメンで背が高く変えてくれないかなぁ。」
高二になって、このような妄言を吐く茨木晋16歳の春であった。
蛇足かもしれないが、ホームルーム中は先生の話を聴いたほうが良いと思うぞ。
キーンコーンカーンコーン
放課後になると彼は居場所に困る。
何もする事がないからだ。
ちなみに金もない。
だから、駅前に出て遊ぶ事も出来ない。
仕方なく、市の図書館に今日も行く。
ラノベと漫画を読んで時間を潰すために。
「面白いのは、いつも貸出中なんだよなぁ。」
彼には貸出予約をする発想がなかった。面倒臭いのだ。
「これでいいや。」
手塚治虫に随分と失礼な言葉を吐いて、黒い表紙の漫画全集の一冊をテキトーに取った。それは、仲良さそうな美少女(?)と美幼児(?)の表紙だった。
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