残3日

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「とにかく落ち着くのじゃ。チンク。」 とブレスレットの声が喋る。 晋もようやく平常心を取り戻し始めた。 「よーく聞くのじゃ。」 「わ、わかった。その前にチンクって何?」 「お前は天使じゃ。チンクはお前の名前じゃ。」 「……。ない、ない、それはない。」 「しかもお前には大切な使命がある。」 「おい。無視するなよ。オレは天使じゃねぇよ。」 「その使命とは……」 声は晋を無視して語り続ける。 仕方なく晋は黙って聞いた。 晋の近くに男の心を持った女の子がいる。 その女の子から男の心を奪い、女の心を入れるのがチンク、つまり晋の使命だと声は主張した。 「今時、女の心を持っている男とか、その逆とかたくさんいるじゃん。放っておいてあげろよ。」 「そうもいかん。その女の子は世界を救う偉大な人物の母になる予定なのじゃ。」 「そんな未来のこと関係ねぇし。」 「そうでもない。使命をはたさねば、天に戻れぬぞ。」 「オレはこのままでいいよ。茨木晋のままで。」 少し前まで、自分の人生に飽きた等と言っていた人物の言葉とは思えない。
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