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「とにかく落ち着くのじゃ。チンク。」
とブレスレットの声が喋る。
晋もようやく平常心を取り戻し始めた。
「よーく聞くのじゃ。」
「わ、わかった。その前にチンクって何?」
「お前は天使じゃ。チンクはお前の名前じゃ。」
「……。ない、ない、それはない。」
「しかもお前には大切な使命がある。」
「おい。無視するなよ。オレは天使じゃねぇよ。」
「その使命とは……」
声は晋を無視して語り続ける。
仕方なく晋は黙って聞いた。
晋の近くに男の心を持った女の子がいる。
その女の子から男の心を奪い、女の心を入れるのがチンク、つまり晋の使命だと声は主張した。
「今時、女の心を持っている男とか、その逆とかたくさんいるじゃん。放っておいてあげろよ。」
「そうもいかん。その女の子は世界を救う偉大な人物の母になる予定なのじゃ。」
「そんな未来のこと関係ねぇし。」
「そうでもない。使命をはたさねば、天に戻れぬぞ。」
「オレはこのままでいいよ。茨木晋のままで。」
少し前まで、自分の人生に飽きた等と言っていた人物の言葉とは思えない。
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