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部室には白石と自分の二人だけが残された。
「……」
微妙に沈黙が流れる。
白石の視線を感じながら自分は俯いたままだった。
「金ちゃん」
白石がロッカーをぱたりと閉める。
「……なん?」
自分も先程の部員たちと同様、練習に行けと促されるんだと思いながら、視線だけを白石に向けた。
すると白石は周りを見渡し、誰もいないことを確認し、再び自分の方へ向き直った。
「なんかあったん?」
白石の包み込むような優しい笑顔にひどく安心感を覚えたのを今でも覚えている。
自分が悲しいわけではないのに、何故か込み上げる何かに涙腺が緩むのを感じた。
こぼれ落ちそうな涙を必死で堪え、白石の顔を見上げた。
「白石ぃー」
「ん?」
白石は自分をベンチに座らせ、自身は正面にしゃがみ込んだ。
まるで子供をあやすように白石に両手を握られ、そういえば白石も自分より余程女子に告白されていたんだっけな、なんてことを思い出していた。
思い出しながら、今日あったことを拙い表現で白石に伝えた。
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