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「関係ないだろ。
それより、お前みたいなガキが夜道を出歩くな」
俺は、少女をとにかく除けた。
ずっと平常でいたはずの俺の心は、思った以上に荒んでいたようだ。
少女の優しさに不信さえ覚えて、恐怖している。
最低の後味を振り払って、俺は歩調を速めた。
「行っちゃダメっ!」
すると少女は俺に駆け寄って、腰回りに抱きついたのだ。
これには流石に俺も驚いた。
それで彼女を受け入れようと決意した気は、微塵も無かったが。
「…邪魔だ!」
俺は、強引に少女を振りほどく。
押し退けた感覚は軽く、少女を押したという事実さえも感じなかった。
「きゃあっ!」
地面に体を叩き付けられた鈍い音と、高い悲鳴で、俺はその時ようやく少女を無慈悲に拒絶した事実を理解した。
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