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彼女は早くも二つの意外性をさらけだした。
なんだか、そこに彼女に対する好奇心がそそられた。
言葉の途中で押し黙ったかと思うと、ゆっくり少女は言い放った。
「だって…、あなた。
行く宛、無いんでしょ?」
突然核心を突かれ一瞬驚いたが、良く考えればそんな事は一目瞭然であった。
なぜなら俺の風貌を見るがいい。
布切れに違わぬ上着、何ヵ所にも穴が開いたズボン、手入れさえ行き届かず、伸びきって乱れた髪。
まさに絵に書いたような『負け組』じゃないか。
自覚した途端、少女に対して俺は酷く劣等を感じた。
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