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「…だったら何だ。
お前には、俺に哀れみや情けをかける事位は出来るかもしれない。
だが救えるか?惨めな、こんな俺を」
卑屈に、俺は言った。
少女は、瞬間だけ俺を見て、その視線を落とす。
「救えるはず無い。
それは当然の事で、現実だ。
ハンパな同情は、他のどんな罵倒より人を苦しめる。
社会勉強だ、よく覚えておけ」
俺が心なく言葉を吐き捨てると、少女は地に手を着き、嗚咽した。
僅か残った俺の良心が自己を嫌悪したが、今更人の良心に触れる事への恐怖が、やはり勝った。
俺は作り出した睨みをきかせて少女を一瞥すると、その場を後にした。
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