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少女は、とうとう決意したか、俯き男に連れられていく。
抵抗は、まるで見受けられなかったのだ。
成すがまま、少女はその歩を進めていた。
「…失せろ浮浪者!」
少女の肩を掴んだ金髪の男が、俺を一蹴する。
痛みが、体を刺した。
俺の意思で動くことはない体は、ただ痙攣するばかりで、奴等はそれを道化を見るかのように、声高く嘲笑っていた。
不快な笑い声が、また響く。
ふと、少女の顔が見えた。
少女は、泣いていた。
雫は、止まない。
少女は、ずっと、ずっと泣いているのだ。
…やはり、アイツは馬鹿だ。再認識させられた。
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