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何故。全くを持って解せない迷宮に、放り込まれたようなものだった。
俺には、あの少女の自己犠牲の思惑が解らない。
これは俺がまだ幼い頃であったが、ある本を読んだ事があった。
その主役は、一度仲間に命を助けられた事があった。
槍に一突きにされそうになった主役を、仲間が身代りに受ける、というワンシーンがあり、今でもその一節は俺の記憶に痛烈に焼き付いている。
だが当時から現在まで、未だその意図が解らない。
だから、少女が馬鹿だと思えるのだ。
そう、その悲劇のヒロインは、まさしくあの少女に置き換えられる。
自分が悲しむならば、どうして俺を救うのか?
どうせ俺を助けてどうなる訳でもなかろう、なのに何故悲しみを選ぶのか?
なにより。
そうされて生き残った方は、嬉しいか?
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