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男の吐息が荒くなり、乾いた唇が近くなる。
ロマンの欠片さえ無いな、生臭い匂いがする。
う、気持ち悪い。
どん、と。
瞬間、オレは地面に叩き付けられた。
いわゆる、騎乗位。
…これは、頃合いだな。
男は興奮を抑え切れないのか、顔を次第に近付けてくる。
「安かねぇよ…!」
刹那、オレは男の腹に、膝を叩き込む。
「げふ…っ!!」
奴にはよほど想定外だったか。
間の抜けた声を溢し、その体が宙を舞った。
その瞬間、オレは飛び起きて、右手で宙にある男の頭部を、壁に抑えつける。
壁と骨がぶつかり、鈍い音を発した。
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