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だがこれが、俺にとっての必然であり、日常であるのだから、慣れたものだ。
いちいちそれについて苦悩するなど、それこそ愚かしい。
ただ、心の底では望んでいたのかも知れない。
たった一つ、小さな変化でも、俺にはどんなに輝いて見えるだろうか。
そんな生き甲斐を、どこかで望んでいたのだろう。
俺は顔に着いた異臭の液体を手で拭い、当ても無く歩みを進めた。
「…こんな夜遅くに」
暗闇の中、背後より声が響く。
優しく、抱擁するように発せられた声。
そんな少女の声色は、久々に聞いたやわらかい物だった。
「風邪、ひきますよ?」
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