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優しく、肩に乗せられた手。
目を凝らすと、白く、美しい肌が目に止まった。
俺が少女を見ると、少女はにこやかに微笑んだ。
嘲笑とか、そう言った侮蔑的な表情ではなく屈託がなかった。
顔立ちが整って、髪は艶やかな翠色。
結ってポニーテールにしたその毛先は、美しく曲線を描く腰の辺りまで届く位、長かった。
さらりと、夜風に髪が靡いた。
まるで絹糸か、そう思わせる程に繊細な髪だった。
幼く可愛らしい、と言ってもそうだが、とにかく美しかった。
「…近寄るな」
肩に乗せられた手を振りほどくと、俺は少女を無視して歩みを進めた。
視線は感じるが、俺は振り向かなかった。
「待って!」
声を張る少女に、俺は思わず足を止めた。
「どこに行くんですか?」
振り向くと少女は、どこか悲しそうな面持ちで俺を見ていた。
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