1973年 6月23日

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◇◇◇ 「─────」 腕で目を覆い隠していたのを解き、朝日の明かりを睨む。 憎々しい程に、太陽が私の目を視る。 もう朝だ。 22時に床に入ったのにも関わらず、眠った時間は僅か2時間。 長い間苛まれ続けている不眠症は、今日も健在だった。 瞼が重い。 目を瞑り、眼球をぐいぐいとほぐす。 眠い。けど、眠れない。 「おい霧都(きりと)、起きてんだろ?───入るぞ?」 ドアをノックもせず部屋に入ってくる闖入者。 「入って来ないでっ」 私は枕に顔を埋めて、闖入者に言い放った。気分的なものか、誰か邪魔が入る時に限って眠くなるのだ。 だから私は、相手が誰であろうと不機嫌になる。 「お前今日朝飯当番だろ、子供達が泣き出すぞ?」 「・・・」 ああ、そうだった。 だから望み薄なのに早めにベッドに入ったんだ。 「早く起きろよ。 今日も眠れなかったのか?」 「・・・ええ。その通りよ」 私は首を垂れ下げたまま上半身だけ起き上がる。 「それで、勇熊(おぐま)。 女性の部屋にノック無しで入るなんて、いい度胸してるわね」 私は溜め息と苦笑を漏らす。 いつもの事だから、一々目くじら立てて怒るのも面倒だ。 「子供達に一斉に乗っかられるよりは、いいだろ?」 「・・・ええ、全くだわ」 あの子達は相手が誰であろうが、空腹なら人を圧迫死させるだろう。 私は重い足取りでベッドから出る。
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