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「お前、荷物、もうすぐ届く」
そう寮官は俺に言って戻っていった。
「って、終わりかよ!」
人が少なくなった食堂に俺の声が響きわたる。
「喋るのすら面倒だったろうな」
金平は諭すように言った。
「だけど、なら荷物片付けるの手伝うで」
「俺も手あいてるぞ」
「いいよ。荷物も少ないし、すぐに終わるから」
なにより、見られたらマズイ物がいくつかあるからな。
銃器の全てはおいてきたにせよ、色々な説明に困る道具がある。
俺は暗殺者を辞めたんだ。
辞めたが、抜けきっていない警戒心や常識がある分バレる可能性が高い。
これからの学園生活を考えると知られない方が良い。
「俺は暇だから手伝っていいか?」
凛太郎がそう言ったが、それは困る。
だが、その親切心を無下にするような行為は正直、俺は心が痛い。
これが世間で言うNOと言えないタイプの人間の長考なのだろうか?
または流されるタイプと言うべきか?
「そう言うなよ。紀斗にだって見られたくない物だってあるんだろ」
金平が助け船を出してくれたが、絶対にいかがわしい物だと思っているんだろうな。
「ロウソクとか鞭とかロープとか」
俺、つっこむな。
つっこんだら話がややこしくなるから、そう言う事にしといた方が良い。
いや、良くはないが。
「そ、そうか…。いろいろあるもんな?」
絶対ひいてるし、何故に最後は疑問形!?
その後、俺は飯を食べ終わった後に届いた荷物を整理した。
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