報告01 再会

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人気のない山の中。 俺は銃口を怯えている中年男性にむけていた。 「や、やめてくれ…。金ならいくらでも払うから」 中年男性は腰を抜かして立ち上がれないまま言った。 「う…、うわわあぁぁぁ!」 ッパン… 叫び声が森に木霊した後、乾いた銃声が虚しく響いた。 そして、銃声が完全になくなった時には、叫び声もなくなっていた。 それから1ヶ月後… 俺は紅皇学園に来ていた。 「彼は本日転入してきた北御門紀斗君だ」 高等部普通科2年G組担任の先生が俺、北御門紀斗を紹介した。 「き、北御門紀斗です。よ、よろしく」 俺は完全にあがっていた。 「あ、あーー!」 そんな時、急に叫び声が上がった。 「のり君!」 俺はその声の方向をむくと見た事のない少女がいた。 だが何処か面影のあるその姿に、俺は何かを思い出した。 「な…、姫小松?」 彼女は姫小松華波。 俺がまだこの近くに住んでいた時、よく一緒になって遊んだ幼なじみ。 俺はその事を休み時間にクラスの皆に説明する。 質問攻めにあった結果である。 「前は何処に住んどったんや?」 「あんたは?」 俺は質問をしてきた1人がなんだか気になった。 たぶん聞きなれない関西弁に反応してしまったのだろう。 「ん?俺は内記凛太郎(ないきりんたろう)や。よろしゅうな」 凛太郎は関西人のノリなのか、それともただ馴れ馴れしいだけなのか手を出してきた。 俺はその手を取る。 「あれ?」 「ん、どないしたんか?」 「う、ううん。何でもない」
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