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俺は掴んだ手をはなした。
その後、質問ぜめにあったが、曖昧な返事をしてその場を凌いだ。
昼休みになってやっと姫小松と話す機会がやってきた。
昼休みも質問ぜめにあってはかなわないと、チャイムがなってすぐに教室から飛び出したのが正解だったらしい。
俺は人の眼がどうしても気になってしまう。
それは暗殺者として影で生き、人の視線や気配のない所で任務を遂行してきた職業病なのかもしれない。
そんなわけで逃げた先の食堂に姫小松はいたのだ。
そこで俺は姫小松の前の席に無言で座った。
姫小松はきつねうどんを食べていたが、麺を途中で噛みきって俺の方を見る。
「あれ、のりくん?」
「姫小松、お前まだ俺の事をそう呼ぶのか」
子供の頃の呼び方がまだ抜けてないようだ。
「嫌なの、のりくん?のりくんだって前みたいに姫ちゃんって呼んでくれたっていいんだよ」
「最近までそう呼んでたみたいに言うな!8年ぶりだろ!?さすがに恥ずかしいんだ」
「ところでのりくん、チャイムが鳴ってすぐに教室出たのに、何で私より後に食堂に来てるの?」
「ああ、そう言えば姫小松の方が先に来ていて、しかもうどん食べてるな」
「遠回りして来ちゃったみたいだね」
それよりも学校に遠回りする道がある事自体、少し変に感じるんだが。
「この学校はね、世界有数の規模を誇る学園でね、それで沢山の財界の人から普通の一般人まで通ってる学園なんだよ」
「規模は知ってたけど財界の人達の事は俺は知らなかったな」
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