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そして、俺は教室に戻った。
その時の俺は僅な焦りから忘れていた。
もう時間的には遅刻だと言う事を。
放課後になり寮にむかった。
俺は寮官から部屋の鍵を寮内にある受付でもらう。
「こんな時期に転校してくるなんて珍しいな」
寮官は想像よりも若く、しかも男子寮にもかかわらず女性である。
「何か問題でもおかしたのか?まぁ、興味ないけど、うちでは何もするなよ」
なんていい加減な管理人だ!
「後始末とか面倒臭い。ついでに案内とかも面倒臭い。だから、そこのお前、え~っと…」
そこで帰ってきた寮生を適当に呼び止める。
「名前忘れたわ」
本当にいい加減だな!
「御菓子っすよ。御菓子金平(おかしこんぺい)っすよ」
「なら、金平、そいつの案内任せたぞ」
そう力なく言った寮官に金平はしかたなさそうに「はい」と、言った。
「ところでオメエ部屋は何号室だ?」
金平に部屋の番号を聞かれ、俺は鍵に書かれていた番号をこたえる。
「え~、俺の部屋の隣か」
「嫌なのかよ!」
「間違えた、『へ~、俺の部屋の隣か』だった」
「意図を感じる間違いだな」
そんな事を話しているうちに俺の部屋の番号がついた扉の前についた。
「ここがオメエの部屋だ」
「ここが…」
俺は緊張した雰囲気でゆっくりと鍵穴に鍵を差し込む。
ここから俺の新しい生活が始まるんだ。
そんな事を思いながら部屋の扉を開けた。
すると、そこには勉強机にクローゼット、ベッドがおいてある、殺風景な部屋が広がっていた。
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