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「へ~、ずいぶんと片付いた部屋だな」
おれの後ろから金平が顔を覗かせ言った。
「いや、ちげえだろ!何で送ったはずの荷物が届いてねえんだよ!?」
「知らねえよ。寮官に聞けって、あの寮官じゃ意味ないか」
俺は何故かその言葉に納得してしまった。
「どうせ遅れてるだけだろ」
「あー、俺は今日は布団なしで寝るのか」
まあ、草が生い茂る場所や猛獣ばかりいる場所よりはましだが。
「なら、この金平様が寝る場所を提供してやってもいいぜ」
「本当か!?」
「ああ。ただし寝る場所は俺の腕の中だけどな」
「…ぞ、ぞくに言うホモってやつなのか?」
「お~い、少しずつ距離をとるなよ。冗談だ、冗談」
「今日、俺床で寝るよ」
俺は部屋に入った。
「放置された俺はいったいどうすれば?ひょっとしてこれが噂の放置プレイか!?」
「いい加減に気色悪いボケはやめろ!」
俺は部屋を飛び出してツッコミを入れた。
その後、俺は持ってきていた荷物を部屋に投げ捨て、何もない部屋で仰向け、大の字になる。
疲れたのかただ無気力になっただけなのか、俺はただ意味もなく天井と蛍光灯を眺め続けた。
次の日になった。
気がつけば寝てしまっていたようだ。
とは言え、今日は休日だが何をしようか。
やる事は山のようにあるはずなのだが、何から手を着けていいのかわからない。
そんな事を考えていると部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「紀斗、いるか?」
金平の声だ。
「いるよ」
「飯食いに行こうぜ」
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