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四季様の手は華奢(きゃしゃ)で柔らかくて、ずっと握っていたくなるほど可愛らしかった。
俺はその手に名残惜しくもお別れをし、四季様の後を追った。
「あの、四季様……」
さっき俺達が居た処から少し離れた処にある離れへと向かう途中に、四季様に話しかけた。
「はい? 何ですか?」
「閻魔の仕事って、魂を裁く事ですよね? 僕、どういう風にするか全く解らないのですけど……」
俺は閻魔に就くのだ。
それに人間界と違う裁き方があるのかも知れないから聞いておくのが一番だろう。
「えぇ、魂を裁くのは正解です。その魂の生前の行いを審判して判決を下します。しかし、それだけが閻魔の仕事ではありません。生きている者が道を踏み外そうとしている場合、正しき道を諭す仕事もその一つです。もう一つ小さな仕事がありますがこれは後で直ぐに分かるでしょう。あと、私達が裁く魂は人間界と幻想郷のですね。」
幻想郷……?
聞き慣れない語句が耳に入った。
「四季様、幻想郷とは何でしょうか?」
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