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『めよ……ざ……よ……晶人よ』
頭に声が響く。
木の下で昼寝していた俺はその声に苛立ちを覚えながらも重い身体を起こした。
「眠い……。死人をおいそれと起こすなよ。折角冥界生活を満喫してたところなのに、何の用だ?」
と文句を垂れつつ顔を上げる。
「漸く目覚めたか。何度儂が呼んだと思っておるのじゃ」
俺の目の前に佇んでいたのは、右手に杖を持っていて、神々しい装飾の着物を着た女性がいた。
その姿を見て一気に眠気が覚めた。
「絖橋 晶人、お主に会うのは初めてじゃな。儂は日の神・アマテラスじゃ」
そう、俺、絖橋 晶人を呼んでいた声の主は天照大神(アマテラスオオミカミ)。
伊弉諾(イザナギ)より生まれし神であり、神々が住まう高天原(たかまがはら)の支配を命ぜられた、神の中の神である天照大神だった。
「は、はい!申し訳ありませんでした!何度もお声を掛けていただいたのに直ぐに起床できなかったのは私の不徳です!」
俺は直ぐに立ち上がり、腰を九十度曲げて謝った。
なんせ、相手は神のトップだから粗相を働いてはいけないのだ。
「まぁよい、それよりお主に勅命だ」
なんとか許して貰えたな……
でも……
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