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――前へ進んでいるのか。
いや、墜ちているのだ。
背中に圧力を感じた。
白と黒のストライプが目の前に迫る。
そう俺が気付いたときには、軽トラックの小さなタイヤが俺の脇腹に迫っていた。
もう間に合うわけもない。
――なら仕方ない。
もう何度引かれただろうか。
そうか、こうして俺は今日も死ぬ。
† † †
チュンチュンと小鳥の囀りが聴こえる。
真っ先に気付いたのは、ベトベトとした下着と皮膚の着衣感。
気持ち悪い。
最悪の目覚めだった。
「また俺は……」
俺は思わず呟いた。
その先に続く言葉は、
『また俺は殺された』
その言葉を脳内で紡ぐと思わず苦笑が出た。
俺はとりあえず、Tシャツを脱ぎ捨て、障子をパタンと音がなるほどに気持ちよく開く。
シャワーを浴びたい。
この最悪の朝を払拭するように俺は散漫に湯気の舞う液体を浴びた。
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