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シャワーを浴び終えた俺は部屋に戻り、学ランに腕を通す。
今日は金曜日。
そして、明日は休み。
布団でゴロゴロ出来ることを願い、今日という辛い道のりを乗り越えるのだ。
だが、寛ぎはするが決して睡眠はしない。
してしまったら、余計に疲れるから。
俺は玄関の扉を開こうとすると、
「……お兄ちゃん」
と背中に声がかかった。
俺は思わず振り返ると、そこにはパジャマ姿の少女が佇んでいた。
「ハル。どうしたんだ? 今日まで休むんだろ?」
少女の名前は遥(ハル)。俺の妹だ。
年は13で中二。俺より2個下だ。
つまり俺は高一ってことになるが、正直血の繋がりを感じないくらい顔の成り立ちがいい。
どうやら俺に端正なDNAが流れなかったようだ。
「いや……、お兄ちゃんと一緒に学校行けないから。せめて……いってらっしゃいだけでもって」
思わず涙が出そうだった。
この優しさがウチの兄貴にも欲しいもんだ。
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