平凡(いつも)の始まり

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 感涙を堪えながら、ハルに笑顔を向ける。 「バカ。休んでろよ。なんなら、風邪が治ったら、ゲームでもすっか」  ハルの表情に桜が咲いた。 「うん……。ありがと」  なんでお礼言ってんだと俺は笑いながら、 「行ってくるわ」  と言い残し家を跡にする。  扉を閉める直前。いってらっしゃいの言葉が妙に胸の辺りに残った。    † † †  爽やかな朝の涼風を浴びながら俺は意気揚々と学校までの道のりを歩く。  というか今更ながら、俺は自己紹介をしなければならないのかも知れない。  俺の名前は【紅羽標(クレハ シルベ)】。  年齢はさっき言ったから割愛させて貰おう。  性格は面倒くさがりだと自認しているが、正直他人に云われると癪に触るので認めはしないが。
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