平凡(いつも)の始まり

5/24
前へ
/94ページ
次へ
 軽い自己紹介ついでに厄介事も紹介して置こう。  目の前にマンション。  そこのベランダには鉢植えが腰を据えている。  そしてあれは確実に堕ちるのだ。  それも、俺が通る直前で。  理由は春一番が襲い掛かってきて傾くからと云う平凡な理由。  ただそれだけの理由で俺は死ぬのだ。  なんでそれが解るのか? そもそも、そんなこと当たるわけもないって?  そりゃ……、  ガシャン!!  俺の思考を遮るように植木鉢が地面とぶつかった。  ここで注目するべきは『植木鉢が地面にぶつかった』こと。あくまで俺には当たらなかった。  なぜなら、俺は立ち止まったから。  ただそれだけの理由だ。  平々凡々な理由を否定するために平々凡々な理由が一番なのだ。  そして、何故俺が自らの不幸を予知出来たのかってのを語らなければ為らないだろう。  それは……、
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加