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何故なら、彼女は俺が死ぬ原因になる人物なのだから。
いつもの帰路。
いつもの信号待ち。
普段では有り得ない隣にいる人物。
それが彼女だ。
出来れば逢いたくはなかった。
しかし、いずれ逢うことは知っていた。
彼女の手によって俺は死ぬのだから。
「なによッ! さっきから黙っちゃって! 確かに私もぶつかったわよ? それでも男ならしっかり抱き止めるぐらいしなきゃ駄目だと私は思うの!」
「なんで、見ず知らずの人間がいきなり飛び込んできて。しかも、ハグしなきゃなんねぇんだよ。俺は出会い頭の女の子に抱き着くような男に見えんのか?」
俺は警戒心もそのままに思わず突っ込んでしまうが。
しかし、
「見えるわよ」
即答。
どうやら、こいつとは人生で一番コミュニケーションが取れないだろうと確信を覚えた。
「ほら! さっさと教えるっ! 遅刻したら君も……、あーもう面倒臭いわね。あなた名前は!?」
前言撤回。
凄まじいまでのコミュニケーション能力だった。
どうやら、彼女は人の名前を聞き出す玄人、もとい達人のようだ。
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