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また、同じ街に向かっていた。さらに、細かい打ち合わせをするために、昨日のカフェへと向かう。
「グラハム・エーガー……」
「(ん?)」
不意に声がした。
「お前は、グラハム・エーガー。神を裏切りし者」
「何?」
振り返って見る。
「……お前は!?」
「久しぶりだな。裏切り者」
「……ヨハン……ヨハン・ヒブラヒム!」
「聞きたい事がある。……場所を変える。話してもらうぞ」
そこには三年前、私が捨てた少女がいた。
※ ※ ※
「……国を納得させる為?」
「そうだ……。三年前、国が降伏を受け入れられる為、私達は、軍事力を放棄する必要があった……。」
「……」
「私の率いる部隊は地域と密接に連携した、ゲリラ戦で、相手の指揮官の頭を悩ませていた。 相手国を満足させるには、私の部隊を捨てるしかなかった……」
「 ……」
「こんな事を言う資格が無いのはわかってる。だが、私も辛かったんだ。ヨハン……!」
「――――刹那だ」
「え?」
「刹那・F・セイエイ。それが今の名だ」
名前が変わっている。誰かに引き取れたのだろうか?
「お前は今まで何をしていた?たんだ……」
「――――やはり、お前は罪人だ。グラハム・エーガー」
「刹那……」
「お前は、三年前、自分にケリをつけるべきだった。それを自分の罪から目をそらし、だらだらと傭兵を?私は許さない」
そういって彼女は去っていった。
※ ※ ※
なんとかカフェにつき、軽食を頼んだが、心此処に在らずと、いった風だった。
刹那の事が頭から離れない。
「浮かない顔だな?」
――――サーシェス。来ていたのか。
「何でも無い……」
仕事に支障をきたしてはならない。私は強引に、刹那の事を頭から吹き飛ばした。
「大丈夫か?平気なら、仕事の話に入るぞ」
「平気だ」
「なら、良い。――――この写真を見てくれ」
サーシェスから一枚の写真を受け取った。
「女?」
写真には落ち着いた雰囲気の老女が写っている。
「で、これが?」
「彼女の名はアンナ・カタギリ。ガリアーノの出資者だ」
「この女が……」
「彼女の家の警備体制と金の流れは、おかしい。近々攻め込む」
「なるほど、それは何時だ?」
私は聞き返す。
「今夜だ」
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