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ルーウェンは、ため息をつきながら国立クイ学園の、タイルが敷かれた廊下を歩いていた。
これから、精霊術の授業がある。
「よう、ルー」
愛称を呼ばれ、規則正しく並ぶ正方形のタイルに向けていた目を上げると、学友のリシュが、片手を挙げて歩いて来た。
リシュとは、入学時からの付き合いだ。
同じ精霊師育成学科では、唯一仲が良いと言える友人だった。
肩ほどまで伸ばした髪を、右に寄せてまとめている。
「やあ、リシュ。……その髪、暑くないの?」
ルーウェンは力なく返事をして、憂さ晴らしをするように、リシュの髪に文句をつけた。
リシュは呆れた顔をして、
「精霊師になろうってヤツが短髪って方が、どうかと思うけど」
ルーウェンの憂さ晴らしをさらりとかわした。
至極もっともなリシュの言葉に、ルーウェンの憂いは更に増した。
八つ当たりのつもりが、返り討ちに遭ってしまった。
ルーウェンは、自分の髪を指先でつまんでみた。
一応入学してからは、伸ばそうと努力しているのだが、慣れないからか少し伸びると邪魔で、つい整えてしまう。
またため息をついて、ルーウェンは自分の髪を離した。
金の髪が、ふわりと揺れて戻って来た。
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