劣等生

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 入学時、ペアのシステムを聞かされた時には戸惑った。  ペアの相手は、他の専門学科の生徒でなければならないため、その時少々言葉を交していたリシュとは組めなかった。  卒業まで三年の、運命共同体である。皆が手探りで自分と違う制服の生徒に話しかけ、相手の能力や自分との相性を図っていた。  リシュも、見知らぬ制服の生徒と、言葉を交しているのが見え、ルーウェンは焦った。  誰に話しかければいいのか、全くわからなかった。  この時すでに、実戦のための訓練が始まっていたのだと、今は思う。  卒業後は――無事に卒業できればの話だ――、自分に足りない専門能力を必要とする仕事もあるだろう。その時に、どんな人物と仕事を共にするか。  生徒たちは、人を見る目というものを身につけなければならなかった。  そして人を見誤った時、どういうことになるか。  また、どんな風に対処してゆくべきか。  学園生活全てを通して、それを学ぶのだ。  ルーウェンが戸惑っているうちに、いくつかのペアができていた。  その様子を見て焦るルーウェンに、声をかけてきたのが、アサヒだった。
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