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両親の部屋を出た深愛は、勇作と駿作のいる部屋へ来ていた。
深愛「お父さん、お兄ちゃん、本当はお母さんにもいてほしかったけど、それは無理…だもんね…」
駿作「母さんならいるよ……ほら、ここに…。」
そう言って、駿作は小さめのフォトフレームを出した。
駿作「式も披露宴もちゃんと一緒に見てるよ。」
深愛「…ありがとう、お兄ちゃん……。」
駿作からフォトフレームを受け取り、深愛はそっと抱きしめ、言葉を発した。
深愛「……お母さん、私を産んでくれてありがとう……私、今日、世界中で一番大好きな人のお嫁さんになります。」
勇作と駿作は小さな写真の中の母親に語りかける深愛を瞳を潤ませながら見ていた。
深愛「お父さん……」
勇作「…ん?」
深愛「私を藤川の両親に引き合わせてくれてありがとう……でも、辛かったよね…?」
勇作「……まあな。 だけど、あの時は、お前にとっても、私達にとってもそうする事が一番の方法だった。」
深愛「…うん、分かってるよ……お父さんとお母さんの気持ち……」
勇作「幸せになるんだよ? そして、いつの日か、お前と卓哉君の子供に合わせてほしいんだ。」
深愛「うん……もちろんだよ。」
駿作「親父…、これから、結婚式をする2人に、もう孫の催促か…?」
勇作「い、いや……その……」
深愛「別に構わないよ…お兄ちゃん。 夫婦になれば、いつかは、授かる命だもの……。」
そして深愛は駿作に顔を向けた。
深愛「お兄ちゃん、これからも私のお兄ちゃんでいてね…」
駿作「ああ……わかってる。 だから、何も心配しなくていいから、お前は幸せになる事だけ、考えてればいいんだ。」
深愛「……うん…。」
そんな話しをした後、深愛は女性組と共に式が行われる結婚式場へと向かった。
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