~story 19~

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そして、卓哉が深愛の手を取り、新郎新婦の席へ戻ろうとしたが、深愛が卓哉の腕からすり抜け、勇作と駿作のいる席へ向かった。 そして、2人の傍に来た深愛は2人を立たせ、出席者に一礼し、言葉を発した。 深愛「ご出席くださった皆様、もう少しだけ、お時間をいただきます。 今、立ってもらった2人は、私の実の父と兄です。 そして、この写真の女性が実の母です。」 勇作・駿作「‼」 勇作と駿作はいきなりの深愛の行動に驚くしかなかった。 深愛「マスコミによる報道などで、皆様も私が藤川の両親の血を分けた実の娘ではないことは御存知でしょう。 でも、私にとっては藤川の両親もさることながら、この2人も私にとっては、大切な人達です。 ですから、2人にもお礼の言葉を述べたいので、今しばらく、お時間をください。」 会場内が一瞬、ざわついたが、次第に拍手が大きくなり、深愛は深々と出席者に頭を下げ、勇作と駿作に向かい、言葉を発した。 深愛「お父さん、お兄ちゃん、今日は来てくれて本当にありがとう✨」 勇作「いや……こちらこそ、あなたの花嫁姿を見るだけで良かったのに、披露宴まで……」 深愛「ううん……最初、私の生い立ちの真実を知った時は戸惑ったけど、今は、真実を知ることができて良かったと思ってる。 本当はもっと、たくさんの言葉を用意したんだけど、やっぱり、この一言にします。 私に命を与えてくれてありがとう……今日から、私は最愛の人と共に幸せな時を刻みます。」 そう言って、深愛は2人に抱きつき、2人もそっと深愛を抱きしめた。 会場内からは、暖かい拍手が起こり、3人を優しく包みこんだ。 そうして、たくさんの人に見守られ、無事、深愛と卓哉の挙式披露宴は終了した。
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