海へ✨

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~405号室~ 部屋に帰ると布団がしいてあった。            「このまま寝る前に枕投げしよ―ぜ!」 などとこどもみたいなことを言っているのは矢張だ。 「自分はかまわないッスよ!」 やる気満々そうなイトノコさんが答えた。 「興味がないな。」 御剣はイスに座って本を読んだままさっと答えていた。            「成歩堂はもちろんするよな!」 ……ぼくに拒否権はないみたいだ。 「わかったよ。」 半ばめんどくさそうにぼくは答えた。            「うっしゃあ! じゃあいくぞ!!」 矢張は言うと同時に枕をイトノコさんに向かって投げた。 「ぶっ! やったッスね!」 イトノコさんもそこらへんにころがっている枕を拾い、ぼくと矢張に投げてきた。 「わっ!」 顔に直撃……、少し痛かった。 「やったな!」 「お返しだ!!」            ワーワー!! ドカッ バンッ            「おらっ!」 矢張が投げた枕は 「回避ッス!」 イトノコさんの後ろの 「おうっ」 ……御剣にあたった。            「キサマら……」 怒った御剣は枕をなげかえしてきて、結局は四人で枕なげをしていた。            「矢張ショット―!」 「回避ッス!」 「おぶっ! イトノコさん、いきなり回避しないでください!」 「いつも狩魔検事の鞭をうけていたら回避能力がついたッス!」 「だが、いつも鞭をくらっているではないか。」 「狩魔検事の鞭も進化してるみたいッス……。」 なるほど、狩魔検事が鞭を扱うのがうまいのはイトノコさんのせいか。 「あの鞭からは逃れられないッス。」 「でも冥ちゃんは可愛いから許す!  いてっ!」 「よそ見していると枕がとんでくるぞ。」            こうやって遊んでいると、こどもの頃を思い出すな……。 よく三人でいたころはこうやって遊んだなぁ。            「スキやき!」 「それを言うならスキありだ!」 「ぶおっ!」 ぼくが少し昔を思いだしていると枕が二つ、顔にとんできて思わずしりもちをついてしまった。            「ほらよ」 矢張が手を差し延べてくれた。 「ありがと」 ぼくは少し照れてその手をつかんだ。 「ボーっとしてたら的になるぜ!?」            三十分ぐらいかな。 狩魔検事に 「うるさいっ!!」 と言われて枕投げは終わった。
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