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「……これはなにかしら?」
ふと、土に生えているキノコに目がとまった。 とても食べれそうではないが
「ヒゲにでもあげようかしら。」
そんなことを思いながらキノコを引き抜いた。
なかなか山に入る機会などないので、少し散歩をしてみたくなり、今にいたる。
「バカ達と一緒にいるとバカがうつるわ。」
後ろの川のほうを見ながらつぶやいた。
あたしは日本に来て変わったとつくづく思う。 甘くなったかしら。 でも、昔のあたしよりは今のあたしのほうが自分では少し好きだと思っている。 なぜかはわからないけど。
「怜侍なら……、わかるかしら。」
キノコを見つめながら思っていたら――
矢「冥ちゃん、なにしてんだ?」
冥「きゃあ!」
いきなりの不意打ちにあたしは思わず声をあげてしまった。
矢「もうバーベキュー始まるみたいだぜ?」
冥「もうちょっとしてからいくわ。」
あたしは必死に平然をよそおった。
矢「じゃああとからこいよな!」
彼はそう言って走り去った。
あたしは手にもっていたキノコをチラッとみて捨てようかと思ったが、やはり捨てれずにそのままもって行った。
真「冥さん、それなんですか?」
冥「そこに生えていたからヒゲにプレゼントしてあげるわ。」
糸「……毒キノコっぽくないッスか?」
せっかくもってきてあげたのに、しかたがないのでいつものアレをくらわせた。
糸「ぎゃあああああッス!」
ぼく達はバーベキューの準備をしていた。 ここはバーベキュー専用の広場だからだいたいのものはそろっていた。 矢張と狩魔検事も帰ってきてようで安心した。 イトノコさんがさっそく鞭をくらっていたが……。
真「う~、もう焼きましょうよ!」
御「そうだな。 火をつけなければ……、刑事、マッチはどうした?」
糸「ちゃ―んとポケットに…………あ。」
イトノコさんがポケットを見ながら固まってしまった。
成「どうしたんですか?」
糸「マッチ……濡れてしまったッス。」
皆「………………。」
「ええ―――!?」
御「どうするのだ! 火をつける道具がなくなってしまったぞ!」
かなり怒ってるな。 狩魔検事も“どうするの!”とイトノコさんを鞭でしばいている。
真「原始的な方法でぇ!」
と言って真宵ちゃんは木を使ってのろしをおこしはじめた。
矢「ここはオレが!」
と言って矢張はそこらへんの石を拾ってきて、火打ち石の要領で火をつけようとしていた。
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