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「それでね、「砂城」の領主・重頼(シゲヨリ)殿との同盟の条件は、゙証゙を示すこと…。」
「それって…。」
自然と湯飲みを持つ手に力が入る。
「簡単に言えば、゙人質゙を差し出せということ…。」
「……。」
兄様の悲しそうな目を見ていられなかった。
私はうつむき、湯飲みに残ったお茶を睨む。
「砂城との同盟は必要なんだ。駒里(コマリ)との同盟は結んだけど、まだ大国諏土(スド)には及ばない。もし…砂城が諏土に滅ぼされるような事があったら、弐野や駒里は……」
私に言うより、自分に言い聞かせるように兄様は続ける。
「…姉上は18の時に駒里の実(ミノル)殿のところに嫁がれた…。僕にはまだ子はいない。…今更隠居した父上に迷惑をかける訳にもいかない…。だから…光…」
「兄様っ!!」
「……っ!」
急にがばっと顔を上げた私に、兄様は驚いたような顔をした。
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