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蜉蝣
あたしはこの腐った世界に産み落とされた。
空気は汚い。
排気ガスはあたしの体にまとわりつく。
あたしには口がなかった。
必要ないのだろう。
胃には空気しか入っていない。
ただ代わりに
あたしの胸のところまでギッシリと卵がつまっている。
いつまでも繰り返さなければならない輪廻に眩暈がする。
光を反射する眩しい卵を産みながら
遠のく意識の中で
切ない感情に襲われた。
きっとあたしの子も同じことを繰り返す。
あたしは産まれて2日目。
この世界とさよならする。
何も知らないこの子達を残して。
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